第一話 : 大草原の二人 ・ シーン10
紗央梨と美紀のケーキ談義が一段落したころ、美紀の視線が窓の方で固定した。何やら見つけたようだった。 「あれ?」 美紀は、窓にへばりついて通りの方を見ていた。通りの反対側に一階建てのこじんまりした建物があった。通りと入り口の間には、手入れがほどよくされた芝生の敷地があり、その中央にカナダ国旗を掲げたポール。小さい建物だが、住居ではなくオフィス系であることは間違いない。 「どうしたん?」 と紗央梨が訊く。 「あれ、さっきの警察(ポリス)のクルマが入っていったよ」 と美紀は建物横にある細い駐車場を指さし... 続きを読む